31回目の、人を思う日


3月の大相撲春場所。賜杯の懸かった千秋楽前日まさかの負傷というアクシデントにもめげず、110年ぶりの新入幕優勝を果たした尊富士関。

ケガをしたあとたくさんの人から連絡をもらい、感謝しつつ「不安なのは自分より周りの人たちの方なんだ、だから勝っても負けてもなんとしてでも土俵に上がろうと思った」という優勝インタビューの一節がずっと心に残っている。

2024年4月21日。デビューから丸31年。毎年巡り来る周年は、たくさんの人を思い出す日でもある。普段は忘れてる人、もう会えない人、たぶんもう会うことはない人、まだ近くにいてくれる人、音楽家にならなければかすりもしなかっただろう人、人、人。

長い日々、いろんなことがあったけど、おそらく不安だったのはいつもわたしより周りの方だっただろうなあ、と、しみじみ思う。勢いよく飛び上がったものの、徐々に下がる高度、つ、ついに墜ちたか、と思いきやどっこい生きてた、あとは地面すれすれ意地の低空飛行、もはや宿痾というより他ない吉でも凶でもある気性難。的中した不安も、取り越し苦労だった不安もあっただろうな。

これからも、いっぱい不安にさせると思います。心配かけると思います。私も不安です。とりあえず来週末久々の2デイズ、いやー不安です。でも、おなじくらいワクワクしちゃってるので、性懲りもなくまた自分の気持ちにダイブしようと思っています。

何度も転んだけど立ち上がれたのは、立ち上がった先に、大丈夫、って伝えたい人がいたから。負け惜しみかもしれない、やせ我慢の時もある、でも、大丈夫だよ、って、黙ってしぶとくそこにいてくれたあなたに伝えたくて、わたしはまだもうちょっと歌っていたいなあと思うのです。

デビュー曲の「ひとり」。去年の30周年ライブのバンド版をSKYBEANSチャンネルにアップしました。あの時のMCでも言ったけど、1993年の春にこの歌を世に問おうと思ってくれた人と、その問いを受け止めてくれた人に心から感謝を。

今年も歌い手のはしくれとして、人を思う周年を迎えられたことに、心から感謝を。