悲しいから


新しいご本が出来るといつも送って下さる綾辻行人さん。
先日はこちらが。
コミック版は息子が愛読してます(笑)
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今日はこちらが。
過ごしたことはないけど、
京都の冬って寒いんだろうな、とか、
雨の日は空が低いんだろうな、とか、
得体の知れない妄想にかられてしまう怪談連作集。
ハードカバーのシックな装丁も良かったけど、
不気味な文庫版もステキ。
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年末年始、ゆっくり読書する時間があるわけじゃないけど、
新しい本がそばにある、それだけでなんだかうれしい。
綾辻さん、いつもありがとございます。

最近読んだのはこれ。
こってこての愛の物語が読みたくなり。
デビューの年に出版されて、手に取って、
以来何度となく読み返して、映画も見た。
シャープなカバーデザインも含めて、
いまでもいちばん好きな小説のひとつ。
無人島に、絶対持って行く。

「ダメージを受けた人間は危険よ。
彼らは生き残るすべを心得てるから」(本文より)
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子どもの頃、うっかり本を踏むと「足が曲がるよ!」と叱られた。
書物は先生であり、知識の源であり、尊敬すべきもので、
だから大切にするのが当たり前で、そのように教えられて育った。
いまは、本を切り刻む時代。
時代の趨勢と言われればそれまでで、
さっさと全部電子書籍にしろと言われればそれまでで、
でもあたしはいまでもやっぱり、
息子がコロコロコミック蹴っ飛ばして歩いてると、
「足が曲がるよ!」と叱る。

作り手の端くれとして、思うことは色々あるけど、
理屈抜きで悲しいから。
そういうの、悲しいから。