サクラサク

季節は風よりも光を先に変えて行く
つめたい頬に落ちる 陽射しは昨日よりあたたかい

開花のニュースに街はざわめいて
誰かに会いたい 気持ちがあふれる

桜咲く 待ちわびた 春がやっと 扉を開いて
なつかしい人の名を なぜだろう 不意に思い出す

あれから時は過ぎて 見知らぬ春を重ねて
新しい恋に落ちて すこしはやさしくもなれた

それでも時折振り返るのは
後悔じゃなく 確かめたいから

桜咲く あの道で はじめての 淡いキスをした
もう二度と戻れない はじめてを 桜が見ていた

跡形もなくて もう誰もいない
かたちじゃなくて 心を憶えている

桜舞う あの春に 未来など 何の意味もなく
ただ 今が この道が どこまでも 続けと願った
永遠を閉じ込めて 春は行く もう会えなくても
桜咲く あの道は 今もきっと あの日のままで