今夜

何ひとつも迷わずこの道を選んだ筈だと言い聞かせた
終電車のホームに走りながら何度も何度も言い聞かせた
眠れる時間を数えながらぼんやり外をながめている
アルコールの匂いと眠る顔の陰からこぼれた溜め息は

こんな筈じゃなかったんだと頭を抱えているけれど
頷いてしまうのは悔しい あんまりあんまり悔しいけど

夜は果てしなく 朝は容赦なく
崩れ落ちる夢を置き去りに
迷う暇は無く 戻る道は無く
肩を落として今夜もひとり

くだらないと言われてひと言も言葉を返せずうつむいた
軋んだ声呑み込むそのたびにどこかで何かがこわれてゆく
信じていたいと思うことがだんだん苦しくなってきた
ぼやけて行く自分をなすすべもないまま許してばかりいる

誰も彼も似たようなものと慰められても仕方ない
この世界でたったひとりの自分でいたいと思うけど

夜は果てしなく 朝は容赦なく
崩れ落ちる夢を置き去りに
迷う暇は無く 戻る道は無く
肩を落として今夜もひとり

夢だとか理想とか届かないものに名前をつけるだけであきらめていないか
口の中で言葉を転がすだけで何かをしたような気になってた

絶望するのはまだどこかではかない希望が疼くから
見えない何かをつかむのは誰にも見えない力だけ

夜は果てしなく 朝は容赦なく
崩れ落ちる夢を置き去りに
迷う暇は無く 戻る道は無く
崩れ落ちた夢は数知れず
だから歩き出す 明日じゃ遅すぎる
崩れかけた夢を抱きしめて
今夜 今夜歩き出す 今夜歩き出す