シンガーソングライター篠原美也子のオフィシャルウェブサイト

2020年のうたかたロケンローラー

「いただきま、あ、間違えた、ただいま」と学校から帰って来た息子。
数字ローソク買うの忘れちゃって、とりあえず作った母。
親子揃って甚だ不安、ではありますが、
12/5、息子無事に18歳の誕生日。めでたし。
うーん、よく燃えそうだ。

去年はドクターマーチンの8ホール。
今年はオニツカタイガーねだられた。
私の子だから、靴フェチはまあしゃあないね。

現在絶賛受験生。
もともと大学入試改革初年度に当たるというのは何年も前からわかってて、
センター試験が共通テストと名前を変えての一期生になるんだけど、
英語の民間テスト導入が大コケで大騒ぎの挙句頓挫するなど、
ただでさえなんか危なっかしい変わりっぱなだったところへきて、
まさかの新型コロナ宴もたけなわ。
よりにもよってこのタイミングで受験生、という持ってるのか持ってないのかよくわかんないとこに居合わせちゃう感じも、
ま、私の子だからしゃあない、のかなあ。

朝夕がっちり送り迎えの保育園から、
短い距離でもひとりで行って帰ってくる小学校に入った時、
もうここから先は本人の運の強さで乗り切ってもらうしかないな、と思った。
車にひかれちゃうかもしれない。
悪い人に連れて行かれちゃうかもしれない。
友だちと遊んでてなんかの拍子にどっかから落ちたりコケたり、
ケガをしたりケガをさせたりするかもしれない。
乗れるようになったばかりの自転車で、
道の向こうに見えた猫に気を取られて車の前に飛び出すかもしれない。
クソガキやクソ教師にいじめられて、ひとりで追い詰められ思い詰めてしまうかもしれない。
親という生き物にネガティブを想像させたら果てしない。

でも、じゃあ何ができる?
思いつく悲劇をすべて回避しようと思ったら、
子どもを家から一歩も出さず、閉じ込めておくしかない。
成長はリスクに身を晒すことで得るもの。特に子どもの場合は。
リスクの強度をだんだん上げていって、
克服したり慣れたりしながら、だんだん大人になって行く。
なってもらわないと、困る。誰よりも本人が。

だから、あきらめた。
私にできることは、できれば死んだり死なせたりしませんようにと祈ること、
悲しいニュースに胸がつぶれそうになりながら、
ウチの子じゃなくてよかった、とこっそり安堵すること、
くらいだった気がする。

年がら年中そんなふうに突き詰めて考えてるわけじゃないし、
あれに気をつけろこれに注意しろといまでもわあわあ言うし、
(基本的には甘々の構いすぎで年中ダンナに叱られている)
生きてる限りそうやって心配し続けるのが親業なんだけど、
まあとにかく死んだり死なせたりせずにとりあえず18年、
いまや私の本番前の支度よりはるかに念入りに、
毎朝ヘアスタイルを整えることに余念無く、
いやーありがとう、ありがたい、と心から思う。

中学校までサッカーやって、高校からはハンドボール部。
頑張って練習して、初心者なのに部長になって、
今年の春の最後の大会で公式戦初勝利が目標だった。
2年生残りわずかの3月、突然の一斉休校。
フェイドインで3年生になって、
6月にようやく学校が始まった頃、連盟からぺらっといちまい紙が来て、
当たり前みたいに大会は中止になった。

また来年、って言えないものがある。
だって、17歳は一生にいちどきりで、
18になった時もう私はライブハウスで歌ってた。

制服の学生時代最後の1年は、
新型コロナのおかげで「仕方ない」ばっかの日々になって、
失われるかもしれないもののためにきみたちが失うのを見ながら、
相変わらず私にできることは何もなかった。
でも、よりにもよってこの困難の中で青春ど真ん中の節目を迎えてるのは、
もはや親とかカンケーなく、それはそれでやっぱきみの運の強さなんだと思うよ。

そうであってほしい、と願うのは、私のエゴかもしれないけど。

恐れを知ってひとは大人になる。
でも、忘れないで。
知ってしまってなお勇敢であろうとする心にロックンロールは流れ続ける。
そして、希望はいつでも絶望という名の服を着て笑っている。
18歳、おめでとう。グッドラック。心から。

大学生になったら、一緒に飲みに行けるかなあ。


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