恋歌


たまにくる藤沢周平ブーム。
本棚からありったけ掘り出して、
ごくごく水を飲むみたいに読む。

私にとって藤沢周平は、
時代小説作家の皮を被ったラブソングの名手。
何度読んでもびっくりする。あまりにせつなくて。

そして、ひらがなの美しいこと。
これはたぶん、原稿用紙に手書きだったから。
歌も、ひらがなのように伝わるといいなと、時々思う。

ジェイムズ・エルロイも、
私にとってはノワール作家の皮を被ったラブソングの名手。
一筋縄ではいかない、ねじれて、見えづらい思い。
でも、恋ってそういうもんだろ。

私がラブソングを上手に書けないのは、
そんなことばっか考えてるからかもしれないねえ。