スタジアムにて


外苑西通りから見上げた新国立競技場。
道を渡ろうと思ったけど、前方にホープ軒が見えて、なつかしくてそのまま進んでしまった。
ホープ軒の並びのビルの地下のスタジオで、生まれて初めてレコーディングというものをして、その時背脂ぎとぎとラーメンを初めて食べて驚愕したのでありました。もう35年くらい前の話。

マスクがどうのとか声出すとか出さないとか、なんかくだらなくて全部イヤでスタジアムから遠ざかってましたが、もろもろ解禁の夏、29日、ひょんなことから初めての新国立競技場へ。
バイエルン・ミュンヘン対川崎フロンターレ。
ヨーロッパのチーム、こんなに暑い日本にツアー、ご苦労さま。


開放感があって、風が抜けるせいかそれほど暑さも感じることなく、快適な新スタジアム。
バックヤードと客席の間に壁がなくて、通路からグラウンドが見えて、横向きの吹き抜けって感じ、東京ドームみたいだなあと思ったり。
わたしは旧国立、ラグビー中心にものすごくたくさん思い出があるので、
もうすっかり、別の場所、でありました。

ゲートをくぐると薄暗いバックヤード、並ぶ売店。
トンネルみたいな入場口の短い階段を昇ると、そびえるスタンド、青い芝、心ごと解き放たれていくように一気に開ける視界。闇から光へ。スタジアムへようこそ、みたいな、あのコントラストの強い感じが好きだったなあ。
いまはどこも明るくてきれいで、ま、これが未来形というものなのでしょう。
そうかサッカーってビール売りのおねえさんいないのね、と思いつつ、スタジアムで飲むビールはやっぱ美味かったし。
いちばんキツかったのは喫煙所が一切無くて、たば休できないことだったけど、これも未来形ですな。

結局のところ「どこで見たか」は「何を見たか」のあとにくっつくものなので、
これからのちここで「何かを見た」人たちの記憶とともにスタジアムは育ってゆくのでしょう。
ライブハウスやホールも、きっとそう。どんなに立派でも、それだけではただの箱。
あと何年かで、神宮外苑は大きくかたちを変えることになるらしいから、
もういっかいくらい、秩父宮に行きたいな。
あそこはまだ持ち込みオッケーかしら。銀杏並木の見える喫煙所はまだあるかしら。
あんまり殺菌されてしまう前に、缶ビールぶら下げて、なんならワインのボトルを持って、
すこし汚れた手でも遠慮なく握り返してくれたスタジアムへ、もういちど。

なんて、ちょっと久々に感傷も味わいつつ。
この顔だと嘘っぽいですが。


帰りに辛いラーメン食べちゃった。
気がつけばもう15年くらい行ってるここのラーメンは、試行錯誤の跡は時折見せつつ、なんか変わらなくてホッとするのです。