「頑張れ」のゆくえ


110408

あたしが花粉症デビューしたのは、93年春。
デビュー直前の忙しい時で、
目はかゆいわ、くしゃみは止まらないわで、もうさんざん。
ところが子どもを産んだら嘘みたいに症状が軽くなって、
いちおう用心で医者で薬はもらうけど、
飲むの忘れてるうちに春が終わっちゃったりという年も。
出産で体質変わることがあるって、ホントなんです。
子どもと一緒に、余計なもの出ちゃうらしい。

震災から4週間。
いま、出来ることのすくなさに、
日本中で言葉を失ってる人も多いと思う。
あたしも、そのひとり。
追い討ちをかけるような大きな余震で、
頑張れ、という言葉のむなしさを、
いちばん感じているのはたぶん被災した方々だろう。

もしそれですこしでも気が晴れるなら、
頑張らないで、
ネガティヴを、理不尽を、汚い言葉を、絶望を、
せめて、遠慮なくぶつけて欲しいなあと思う。
ふざけんな、でもいい。
こんな時に歌なんか歌うな、でもいい。
行儀よく我慢しなくていい。
家も家族も街も流されていないあたしたち。
同情でもなく、あわれみでもなく、施しでもなく、
ただ、受けとめたいと思う。
新しいものが産まれるために、
いらない気持ち、余計な気持ちも一緒に出しちゃって下さい。
受けとめるから。

そしていつかうんと時間が経って、
みんな元気になる時が来たら、
あの時受けとめるしか出来なかったあたしたちを、
それぞれにしかわからない痛みを、
思うしか出来なかったあたしたちを、
もし出来るなら、許して下さい。

なんて思うことも、自己満足かもしれないけど。
最前線のリアルは、分け合うことは出来ない。どうしても。

「頑張れ」を、
正しいターゲットにロックオンしたい。
レゴブロックみたいに、簡単におうちは建たないけど、
おうちを待ってる人じゃなくて、
おうちを建てるために力を尽くしてる人には、
心から「頑張って」を送ります。
無力感でほんとうに無力になりそうな自分にも、
「頑張らんか、おい」とハッパをかけながら。