bouquet toss

花嫁のブーケ 空を横切って
歓声が上がり みんな手を伸ばす
なぜだろう私は手を伸ばせずに
慣れないヒールに体が揺れた

あいつもついに落ち着いたねって
白いドレスにみんな目を細める
元気そうだね どうしていたの
お決まりの挨拶 ふと身構える

夢を追っていて素敵ね 頑張っているね
誰も言わないその続き
耳をふさいでも聞こえてくる

そろそろじゃないかと声がする
もういいんじゃないかと肩を叩く
その手を振り払う力がないこと
自分自身がいちばんよく知ってる

あの頃みんな 水に映る月を
いちばん先にすくいたくて競い合った
誰かのように生きて行くなんて
信じられないと朝まで話した

ひとりまたひとり 声が途切れて
気が付けばいつかただひとり
戻れない道に立ち尽くして

気楽でいいねと声がする
甘えてるだけだと吐き捨てる
愚かさを誇れる時代じゃないこと
自分自身が誰よりよく知ってる

花嫁のブーケ 手にしたひとは
次に幸せになれるという
やっぱり私はブーケじゃなくて
その先の空に手を伸ばしていたい

あとどのくらいだと声がする
意味などなくても明日は来る
この手を伸ばしたあの空に 何もないなら
それを見に行くんだ さあ胸を張って
心のゆくえを追いかけて 見失って
迷いながら明日を待つわけを
自分自身がいちばんよく知ってる