第57球
「2003.4/20,21
10周年ワンマンに関する自問自答」
Q:ぎゃー。
A:な、なんですか。
Q:なんともう8月ですっ。
A:うーそーだーっ。
Q:ほんとですよっ。福娘ツアーも終わっちゃったじゃないですかあ。
A:ワンマンていつでしたっけ?
Q:4月です。
A:もう忘れちゃいましたので、そういうことでひとつ。
Q:だめだめだめ!覚えてる限りでいいですから、とにかく区切りつけな
いとだめですってば。ビデオも見たんでしょ。
A:ハイ。恐る恐る一回だけ。でも見たの6月頃だから、どのみち忘れちゃいました。
Q:まあまあそう言わずに。えー、とにかくこの春はピアノにやられまくりでした。
A:いやー下手だ下手だとは思ってたんですけど、ぼろくそやられましたね。はっきり言って2daysの2日目とかは、1曲目の「青」のイントロ間違えたことがすべてでした。
Q:ははははー。それだけは忘れない(笑)。
A:あれは忘れられない(笑)。もうほんとびっくりしましたもん。あれっなになになにが起こったの!?ってかんじで。
Q:「SPIRAL」の曲、3月からの復帰ツアーで半分くらいは手を付けましたが、やっぱり13曲はハードル高かったですなあ。
A:レコーディングの時ピアノだけのテープを作ってもらって、それを聴きながら譜面と照らし合わせて練習するんですけど、譜面通りじゃない音とかもあるし、あたしの耳では分析しきれない部分も多くて。でもよせばいいのに、欲が出ちゃうんですよね(笑)。ややこしいとこは適当にはしょってって思いながら、どういうふうに弾いたらこの響きになるのかなとか、こういうフレーズ弾いてみたいなとか思って、結局やりきれなくて自爆(笑)。まあ、ピアノに関しては言い始めると言い訳だらけになっちゃうので、もういいんですけど。ビデオ見たら自分で思ってたよりはひどくなかったし(笑)。
Q:龍之介くんは4ヶ月。まだまだ手がかかってましたかね。
A:う〜ん、思い出せないけど、まだおっぱいあげてたし、大変は大変だったかな。夜は結構寝てくれるようになってたと思いますけど、でも寝てから、さあ!とばかりに練習してたので、結局延々と寝不足で。そう、今回のワンマンで何が一番驚いたって、本番当日のリハで眠くて死にそうだったこと!
Q:わははははー。
A:初日の朝、よりにもよって龍之介くん5時に起きちゃったりしてね(笑)、次の日は9時くらいまで寝てくれたっけかな。とにかくもう眠くて眠くて歌ってて寝そうになっちゃうんですよ。で、スタッフに頼んでユンケル買ってきてもらって。いやほんとにあれは10年間やって来て初めての経験でした。
Q:やっと本番だってことでむしろ安心しちゃったというか、ついに力尽きたというか(笑)。
A:アドレナリンだけで乗り切った感じ(笑)。でもやっぱ寝てないのもあって全然声出なかったし、出産すると声変わるんじゃないかとか結構言われてたから悔しかったなあ。
Q:あと、衣装のお買い物も大騒ぎでしたよね。
A:そう!そうそうそうっ。今週末本番ていう週の、火曜日くらいだったかな?確かラジオの収録で仙台行ったんですけど、その時に、あれっそう言えばライブで何着るか全然考えてない!って突然気付いて、夕方仙台から戻ってとりあえず亜紀ちゃんに付き合ってもらって(笑)あれこれ見て回って。でもねーあたし買い物時間かかるんですよ、もんのすごく。全然決めらんないの。
Q:何軒も何軒も回って、さんざん迷って、さっきのお店もっかい行ってもいい?とかやって(笑)。
A:で、その日も結局なんにも買えないっていう最低のパターン(笑)。リハとかもあってもう買い物の時間全然なかったのに(泣)。おまけに髪も切ってなくてぼさぼさでもう泣きそう。
Q:しかも美容師さん外仕事でライブの前日しかも夕方しか時間取れず。
A:前日は空けて、一日練習って思ってたんですけどね〜。甘かった(泣)。結局お洋服も前日になっちゃったし。2日目は昔の衣装のスーツと結婚パーティの時になつが縫ってくれたワンピースって決めてたので、あと2ポーズだったんですけどね。どーしてもね、最近流行りのゆるいかんじ、カシュクールとか、重ね着とか、ピンとこないわけですよ。
Q:トシなんじゃないんですか(笑)。
A:そ、そうかも。とにかくただでさえ決められないのに、どこ行ってもおんなじようなゆるゆるひらひらで、結局最後は閉店間際のコムデギャルソンに飛び込んでしまいました。ええいもうちょっと高くてもいいからなんか違うやつくれー!ってかんじで。そんなこんなで前日はマジ大忙しでしたの〜。
Q:わはははー。そりゃ当日力尽きますわな。去年だったら妊娠してたからゆるゆるでよかったのにねえ。新曲の「OUR」も前日の夜出来上がったんですよね。
A:ぎゃーもーそーなんですう。スタッフとメニューを考えながら1日目の一曲目と2日目の本編最後は新曲やろうっていうのは決めてて、わかったなんか書くよと言いつつだんだん日にちが迫ってきて、やばいやばい(笑)思いつきでタイトルだけは決めちゃってたんですけど、中身は滑り込みセーフになりました。
Q:ばたばたで書いたわりには気に入ってるでしょ。
A:ばたばたで書いてない新曲なんてないんですけどね(笑)気に入ってる気に入ってる。龍之介くんがちょうど笑い始めた頃だったので、大事なひとが笑ってくれる喜び、みたいなテーマでなんか書きたいなと思ってて。
Q:それはファンの人たちへの気持ちにも繋がるし、逆にファンの人たちの気持ちっていう風にも考えられますよね。
A:そうですね。ON AIRのフリーペーパーの原稿にも書きましたけど、新生児微笑って、生まれたばっかの赤ん坊が筋肉の動きで笑ったみたいに見えるっていう現象があって、そこでまわりが反応して構ってあげることで赤ん坊はホントに笑うようになるらしいんですよ。泣くのも一緒で、構ってあげないとあきらめて泣かなくなっちゃうんですって。その話を聞いた時に、シンガーとしてのあたしも、ファンの人たちが一生懸命構ってくれたおかげでこうやって笑ったり泣いたり、歌い続けたりしてきたんだなって思いまして。
Q:ファンは親ですな(笑)。
A:ハイ(笑)。ひとりじゃなかったんだなって。ファンの人たちはいつもちゃんとそう思ってきてくれてたんでしょうけど、あたしはずっと反抗期の子供みたいな歌手でしたから(笑)。愛情を信じるのが下手で、すねたり、ぐずったりばっかで。
Q:まさに、子を持って知る親の恩。
A:そうそう。だからね、今回のワンマン2daysはファンの人たちへの感謝状だったんだなあと思います。
Q:感謝状。
A:普段の百歌とか、色んなライブ、あとCDもそうですけど、ファンの人はもちろん、初めてあたしの歌を聴く人たち、他の誰かを見に来た人たちもいるわけじゃないですか。もう昔みたいな意味で世間に野心があるわけじゃないですけど、わかる人だけがわかる、好きな人だけが楽しい、みたいの、やっぱりイヤなんですよ。ライブ盤やDVDを簡単に作りたくないのもそのへんが引っかかってるわけで。だから極力、馴れ合わないように、内輪ノリにならないようにっていつも思ってて、でもまあ今日はお客さんに甘えちゃったなとか思うことも多いんですけど(笑)、一応心構えとしてはそういうかんじでして。
Q:言葉は悪いですけど、ファンの人たちはとりあえずよしとして、みたいなとこありますよね。
A:決しておろそかにするということではなくてね。ファンの人たちも含めて、初めて見る人にも伝わるようにって思ってます。でもそれが4/20,21に関してはもう完全無欠の内輪ノリって感じで(笑)。
Q:わかる人にはたまらない、わからない人にはなんのことやらさっぱりわからない(笑)。
A:そういうつもりなかったんですけどね(笑)。て言うか、あたし自身は正直なとこどんなライブにしようとか考えてる余裕なくて、情けない話ですけど最後まで歌い切れるだろうか、2日間体持つだろうかってことで頭いっぱいで。でも結果的にものすごい濃密なライブになって、いやだって初めて見た人は、なんでこの人泣いてんだろって引きますよ(笑)。
Q:客席の緊張感て言うかテンションも尋常じゃなかったですしねえ。
A:犬がいたら吠えてましたって(笑)。あれだけで知らない人は開演前からびびっちゃうと思う。メニューも2日間であれこれ入れ替えたり順番変えたりしましたけど、決していい流れじゃなかったと思うし、MCも練ってる余裕なかったんでほとんど行き当たりばったりだったし。でも終わってからスタッフと、いや〜もう何やっても一緒だったねって(笑)。
Q:はははは。
A:それでよかったんだと思う。細かいことは抜きにして、とにかくこの瞬間を共有していることがすべてだと。身構えたり、警戒したりする必要もない、ああこれはホントに100%好きな人たちのためのライブだったんだって、2003年4月20日と21日にしか出来ない、やっちゃいけないライブだったんだってやってみて改めて気付いて、だから、あのふた晩は全部皆さんに差し上げますって感じで。
Q:篠原美也子を全うした人たちへの、感謝状ですね。
A:10年という人もいただろうし、1ヶ月という人もいたかもしれないけど、あたしの歌にとどまり続けてくれた人たちのためだけに、あの時間はあったんだと思います。ぐちゃぐちゃ文句つけるやつは無視。世間なんかクソ食らえ。誰がなんと言おうと関係ない。自分は篠原美也子の歌が好きなんだああっていう誇らしさみたいな気持ちが会場中にあふれていて、その空気の中で歌えることを本当に誇らしく思った。わっかるかな〜、わっかんねーだろうな〜。
Q:ふ、古い(笑)。
A:まあとにかく特別な時間でした(笑)。
Q:マスカラ流れてすごいことになりましたけど、泣いちまったのは予定通りですかね(笑)。
A:いや〜〜〜、歌いながら涙出ちゃうかなとは思ってたんですけど、MCできちゃったのでびっくりしました。2日間とも不意打ちってかんじで、突然どばっと泣けて来ちゃって。あのあと亜紀ちゃんが、泣いても流れないマスカラ見つけてきてくれました(笑)。
Q:亜紀ちゃんは自分も危険ですもんね(笑)。えーライブの内容に関してはライブレポを読んで頂くとして、最後には龍之介くんも無事ステージデビューを果たし、大騒ぎの春は終わりを告げたわけですが、ほぼ4ヶ月経って、改めてどうですか。
A:うーん、ピアノの練習大変だった(笑)。
Q:でも、なんだかんだ言ってこれからもやっぱり、弾き語り、なんでしょ。
A:よせばいいのにねえ。6月の百歌みたいにサポートつけるのは簡単なんですけど、立って歌うのはそれはそれでまた苦手だし(笑)。ひとりがいいんですよ。ステージ上にひとり、ってかんじが。
Q:じゃあやっぱり練習だ。
A:が、頑張ります。
Q:今気持ちに響く歌ってなんですかね。
A:全然関係ないけど「夜間飛行」。出会ったその瞬間にさよならが見えたとしてもってとこ。
Q:くり返す愛の言葉を。
A:あの2日間は信じましたねえ。いい気分で、信じちゃいました(笑)。
Q:今はまた信じてないんですか(笑)。
A:たまにでいいんですよ(笑)、あのライブと一緒で。年中あんなことやってたらお互いバテますから(笑)、たまにしっかり話し合って、大丈夫?大丈夫?よし、じゃ、また行ってくんねってかんじで。次に戻ってきた時には誰もいないかもしれないけど、まあそれはそれで。たまにでいいんですよ。嘘でもいいの。でも信じられた瞬間があれば、またひとりになれるんですよ。
Q:(笑)。
A:(笑)。
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