第56球
『セルフカバーアルバム「SPIRAL」に関する自問自答』
Q:BBSで言ってしまった手前。
A:やらないわけにもいかず。
Q:久々に。
A:自問自答でございます。
Q:あっというまに5月。セルフカバーアルバム「SPIRAL」発売から間もなく3週間です。セルフライナーノーツがあるので各曲についてはそれを読んで頂くとして、レコーディングの様子など振り返ってみましょうか。
A:そうっすね。
Q:レコーディング前半戦は出産の2週間前まで。スタートは?
A:打ち合わせしたのは9月入ってからだったかなあ。まずあたしの方で候補を20曲くらい選んで、プロデューサーの中山さんと「愛している」以外の12曲を決めました。特に意味はないんですけど、キリがいいとこで当初は12曲入りの予定だったんで。で、これは杉山さん、これは五十嵐くんと振り分けて、それぞれリハをやって、10月に杉山分、11月に五十嵐分のピアノをレコーディングしました。
Q:妊娠9ヶ月から臨月にかけてという時期でした。
A:とにかくやれるとこまでやろうってことで始めて、あたしは体調も良かったし、お腹大きいうちにとにかくスタジオで歌いたかったんで、ダンナにはずいぶん心配かけましたけど、ギリギリまでやらしてもらいました。
Q:そのへんのことは妊婦日記にもありますね。ちなみに最後ピアノ1曲こぼれたのは?
A:「S」。年が明けて歌入れの時あらためて録りました。
Q:スタジオではどんな風に過ごしてたんですか?
A:ピアノと一緒に何度か歌って仮歌のOKテイクを作って、それに合わせてピアノを直してる間はソファに横になって(笑)お菓子食べたり昼寝したりしてました。
Q:なるほどね(笑)。で、出産ののち2月下旬から後半戦。
A:産まれたあとのことは産まれてから考えようってことで(笑)のんきに構えてまして、どっちかって言うとあたしの体調がそんなに早く戻るんかいなっていう不安の方が大きかったんですけど、もう産んだ次の日からあ〜すっきりしたってな具合で元気でして(笑)。でもウエルカムベイベー日記にあるように、子供の世話が予想をはるかに超えるハードさでこの時期に再開するのが精一杯。3月のツアーに間に合うといいなあと、一応思ってたんですけどね。
Q:歌入れは、いつものこととは言えタイトな日程。
A:1日目5曲、2日目4曲、3日目3曲、4日目最後の1曲歌ってそのままTDに突入(笑)。
Q:力尽きていく感じがわかります(笑)。しかし見る人が見たら、なんてテキトーな歌入れしてるんだろうって思いますよね(笑)。
A:ある意味テキトーと言えばテキトーですかね(笑)。半分以上1〜2回しか歌ってないから。歌わしてくんないんですよ中山さんが。「回数歌うと小賢しくなる」って(笑)。もう下手なのはしょうがないし、細かいこと考えずに気持ち入ってればオッケーって感じでした。もちろん曲によってはある程度細かくやったのもありますが。
Q:昔のCDは歌うまいっすよねえ。
A:ものすごいうまいっすよ。ものすごい直してるから(笑)。今思うと昔は歌入れって結局は「音痴探し」っていうか、音程はずれてるとこ必死で見つけて直す作業がほとんどだったなあと。でも最近は「羽根」も「鳥」もそうですけど、うまい歌じゃなくて、どうしたら「くる」歌を歌えるかがテーマになっている。やっぱり歌ってて自分でも「きちゃう」感じが大事だよなあと思います。特に「SPIRAL」は基本的にはどれも長く歌ってきた歌なので、歌ってて、ああやっぱこの歌いい歌だ〜ってちょっと涙出そうになる感じが大事でした。中山さんもそのへんはよくわかってて、そういう風に歌えちゃうと多少ヘタっぴでも「はいおしまい〜」。あたしは「うそーもっと歌いたい、趣味で」ってかんじ(笑)。
Q:自画自賛得意ですもんね(笑)。龍之介くんを実家に預けて文字通り走ってスタジオに行き、走って帰ってくる日々でした。
A:本来何時に終わるって言えないのがレコーディングってもんなんですけど、今回は終了時間を決めて、でもやっぱりちょっと遅れちゃったりするから、ほんとに駅の階段とか何回も猛ダッシュしました(笑)。このころはまだ龍之介くん3時間タイマーの時期だったし、ロクに寝ずに歌って、走って、よく体持ったなあと思う。
Q:まさにアドレナリンだけで生きてましたよね。
A:日記にも書きましたけど、目一杯無理しないといいもん出来ないぞって自分に言い聞かせながら。でも家族にはほんと感謝してます。あと、ぽつぽつ来るファンの人たちの、アルバム楽しみで〜すみたいなのんきなメール(笑)。わかったよわかったよ作るよ作るよ、みたいな(笑)。
Q:相当励みになりましたよね(笑)。
A:なりました〜。あと今回はセルフライナーノーツやら、あとがきも限定盤通常盤別やら書き物いっぱいで、これもレコーディングと平行してやってたので死にそうになりました。曲はとっくに決まってたんだから書いとけよ〜と自分で自分を恨みました(泣)。
Q:普段サボってますからねえ。限定盤は最初っから作ることになってたんですか?
A:いえいえ。年が明けてからスタッフがせっかくだからこういうアイデアはどう?と言ってくれて、ほんとは雑文集も作りたかったんですけどとても間に合わないので、じゃあ限定と通常と作って、限定の方にミニエッセイ集付けようということになりまして。
Q:ま、初の紙ジャケットもやれたし。
A:そうそう。なんでインディーズになってからの方が豪華なこと出来るんですかね(笑)。
Q:マスタリングもバーニーでやれたしね。謎です(笑)。でもそんなこんなで原稿とかもろもろがギリギリになっちゃったので、デザイナーにはほんとに迷惑かけましたね。
A:いや〜一時は本気で間に合わないと思いました〜。
Q:無事完成して良かったですなあ。ところで今回惜しくも落選した候補にはどんな曲があったんですか?
A:「ありふれたグレイ」「風の背中」「Good friend」などなど。「いとおしいグレイ」からの選曲がないのは偶然です。ベストアルバム、とはちょっと意味が違うので、各アルバムからまんべんなくとは考えませんでした。長く応援してくれたファンの人たちへというのと同時に、このアルバムで初めて篠原美也子の歌を聴く人にとってはどの歌もリアルタイムなので、今も力があるとあたしが思うもの、そして
あたし自身が今もリアルな気持ちで歌えるものを選んだ、ということかな。あとは、歌とピアノだけという形にして威力が出るものってことで、ここは中山さんに容赦なく選んで頂きました。
Q:せっかくならガラッと感じが変わった方がオモシロイですもんね。
A:えーっあの曲がこんな風になるの!?ってね。歌い方というか表現もなるべくオリジナルとは違うアプローチでと思ったし。
Q:「Dear」や「Life is a Traffic Jam」を筆頭に。
A:そうですね。やりながら、そうかこんな風に歌うのもありなんだってかんじで。逆にオリジナルを聞き込んでる人にとっては違和感があったりもするのかもしれないですけど、ま、それぞれの受け止め方でいいと思います。
Q:やっぱりオリジナルの方が好きっていうのもありですもんね。
A:そうそう。
Q:どの曲にも思い入れはあると思いますけど、特にっていうのあります?
A:やっぱね、「magnolia」からのエントリー2曲。「Life is a Traffic
Jam」と「LIKE 17」。「magnolia」はとにかく良くない精神状態で作ったし、全体のテイストを間違えちゃったので賛否両論になったりしましたけど、曲としては悪くないのも入ってるので、今回きちんとやれてほんとによかった。ずっと引っかかってたトゲが抜けたというか、やっと往生してもらえたって感じです(笑)。
Q:歌に罪はないのに、ずいぶん叩かれましたもんねえ。
A:あたし自身も出来ればフタしちゃいたいって思いがちだったしねえ。
Q:色んなこと思い出しましたよねえ。
A:色んな人も思い出しました〜。
Q:思ったよりしんどかったけど、やっぱやってよかったですねえ。
A:ある意味衰えや敗北感を再確認することにもなったんですけど、またこれで前に進めるなって気持ちになりました。歌入れで「誰の様でもなく」を歌いながら、魂は死なず、って思っちゃったんですよね。
Q:ここまで、のアルバムでもあり、ここから、のアルバムでもあるわけですよね。
A:ハイ。ここから、はこれからなのでどうなるかわかりませんけど(笑)、また時間が経って振り返った時、そういうアルバムになればいいなと思います。
Q:限定盤はめでたく完売のようで。
A:あたしも1枚しか持ってないんですけど(笑)。
Q:ありがたいことです。さっ、次回はいよいよ大騒ぎのワンマン振り返りますよっ。
A:うええええ。もう忘れちゃいました。
Q:だめ。
A:ぐええええ。
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