【前夜11/9(金)東京は雨】
他のメンバーは夕方出発したが、私は夜用事があったため、スタッフ2名、いわぶちとともに9時半過ぎに溜池を出発。途中池袋で荷物の受け渡しに手間取り、本格的に車が走り出したのは10時半を回っていた。東北自動車道に入ったのは11時過ぎ。この時点でカーナビの仙台到着予定時刻は3時。ところが実際に仙台に着いたのは1時40分だった。あれ?ちょっと独り言。いや〜エスティマっていい車だな〜180km/h出しても全然ぶれないもんな〜。
なんだ余裕じゃーん!と、スタッフ、いわぶちとともに仙台の街へ繰り出す。
【1日目11/10(土)快晴】
仙台から車で2時間程、お昼少し前に川崎村に到着。生涯学習センターは、のどかな田園風景の中にこぢんまりと建てられていた。白と木目を基調とした落ちついた感じのしかし立派な建物。ふむ、これが地方における公共事業というやつかしらんとしばし感慨。
控え室でお弁当を頂き、順次リハ。途中スタッフが「シノハラさん、大変です!」とやって来て、またジャイアンツの監督が変わるのかいななどと思いきや「キーボード、グランドピアノです!」「うっそお!」。旅に出る前、機材の確認をしたところ、ヤマハのC-70というのがあるという。こっちはてっきりエレピだと思っているので、聞いたことないけどまあ何とかなるさと思っていたのだが、そうか、ヤマハのCシリーズはグランドピアノだったか。急いでステージに行くと、立派なピアノがでんと置かれ、すでに蓋も開いてマイクのセッティングも済んでいる。おお、久々の生ピ。しかし喜んでばかりはいられない。生ピ(特にグランドピアノ)とエレピでは鍵盤の重さが天と地ほど違う。綾戸智絵の何がすごいって、あのちっちゃい体で生ピアノを弾き倒す体力である(ま、クラシックの人はみんなそうだが)。最近のサンプリンググランド、例えば私が普段百歌で使っているヤマハのP-200などは音もタッチも良く出来ているが、やっぱりどこまで行っても実際に弦を叩いて音を出す生ピアノとは別物。ためしに『HERO』のイントロを弾いてみる。おお、本物だ(当り前だ)。ずっしり
とした鍵盤の手応え(指応え?)と生音の響き。何よりもダイナミクス(音の強弱)が全然違う。強く弾けば弾いただけ、弱く弾けば弾いただけの音量が、デジタルの信号ではなく、あくまでタッチの差で濃やかに表現出来る。こういう部分もP-200はエレピにしてはとても良く出来ているが、やっぱり本物は違うなあと改めて実感。とりあえず4曲ならあたしの体力でも持ちそうだと思いつつ、気持ち良くリハを終える。
控え室では、出演者それぞれ空き時間を過ごす。私以外はみんなギターなので、弦を張り替える姿は定番。テーブルに並べられたお菓子をつまみながら馬鹿話にも花が咲く。サトルくんはパソコンを覗いている。藤重くんは好きなCDをかけながらメニューを考え中。なつよは「いいじぇん」の原稿書き。いわぶちはギターを抱えて練習。シオン大好きの私と大森洋平は「あの歌好き」「あっあれも」と、思いつくままにシオンの歌を洋平のギターと私のピアノ(控え室にはアップライトピアノがあった)で歌う。その他にも私はなつよの『温度』や洋平の『キリン』をピアノで弾きながら口ずさむ。なつよが新曲のタイトルが思い浮かばずうなっていたのでみんなで考える。洋平案『彼』が採用決定。そのうち藤重くんが、片手にネルシャツ、片手にTシャツをぶら下げて「どっちがいい?」。ひとしきりみんなであーだこーだ言う。開演時間が近づき、トップバッターのいわぶちが着替え始める。いわぶちのトレーナーが気に入った藤重くんが「くれよお」と駄々をこねる。必死でかわすいわぶち。大爆笑の私たち。
やがて開演。「川の音楽祭」スタート。ありがたいことに230枚のチケットは完売状態。例年クラシックのコンサートなどが行われているイベントということで、会場も何が始まることかと少々緊張気味である。そこへいわぶちが例のテンションで、「イェイ」だの「拍手っ」だの大騒ぎし倒し、拍手を強要したままいったん袖に引っ込みまた出て来るというひとりアンコールまでやってのける。控え室でモニターテレビを見ながら一同あきれるを通り越して爆笑。洋平、なつよ、藤重くんと続き、私の出番。生涯学習センターのホールは、ステージを見下ろすように客席が割合急なスロープになっている(クラシック向けの小ホールなどでよくある感じ)。目線を上げられるのはいいが、普段と違ってグランドピアノのため客席に向かってハスに構える格好になるので、最初少し戸惑った。『HERO』『ひとり』『place』『flower』。『HERO』もそうだが、『place』もやっぱり生ピアノが似合う。何を話したかほとんど忘れたが、大量にMCをした。私の「喋り過ぎ」の根本は緊張というより防衛本能にある。初めての土地、初めてのお客さん。言われる前に言え。おっかないか
らとにかく喋りまくるんである。
本番を終えて控え室に戻ると、「川崎村タオル」が届いていたので、サトルくんのあとのカーテンコールでみんなそれぞれにそのタオルを巻いて出ることにする。私は得意の「土方巻き」。あたたかい拍手に包まれ、裏方を務めてくれた地元の高校生からの花束贈呈もあり、大盛況のうちに無事「川の音楽祭」終了。なつよ、サトルくん、洋平、私はロビーに出てCDの即売を行う。『新しい羽根』だけでなく『河よりも〜』『Vivien』『magnolia』も揃えて頂いてうれしかった。
施設内の広間で川崎村や地元のスタッフ、高校生たちを交えて打ち上げ。本番が押せ押せになったので短い時間だったが、みんなで写真を撮ったり、ノートにサインをしたり大はしゃぎで過ごす。
たくさんの見送りに手を振って、車で再び仙台へ。出口から車に乗るまでのわずかな距離で北国の張りつめた寒さを実感。高速を走っている途中「現在の温度1℃」という電光掲示板があり、ますます実感。
11時ごろ仙台に到着し、改めて打ち上げ会場へ。2時近くまで飲んで2軒目に行くと、なんとスピッツチームと遭遇。翌日と翌々日本番だという。何を隠そうスピッツ大ファンのいしのだなつよ。「ほらっ、なつよっ、あそこに草野クンがいるよっ」「ねえさん、ど、どーしよー!!」と大パニック。スピッツと同じ事務所の洋平に紹介して頂き、草野クンと感激の握手を交わしたいしのだでありました。
結局4時近くまで飲み、ホテルに戻って私の部屋で藤重洋平なつよとしばらく喋って5時頃寝る。
【2日目11/11(日)快晴】
仙台百歌vol.4。思えば今年東京の次にたくさんライブをやったのが、仙台。春に7年ぶりに訪れたというのに、不思議なもんである。ま、2001百歌ツアー締めくくりにふさわしいと言うべきか。
前日久々に生ピアノを弾いていい気分だったので、この日もBack Pageのアップライトピアノを使うことにする。ここんちのピアノはステージではなく客席側にあるので、場所によっては見えづらい人も出てしまうし、後ろ姿しか見えない人も出てしまうのだが、それはそれでめったにないことだし、このピアノがなかなかいい味出してるんである。なつよも全曲ピアノでやることになって、スタッフは転換が楽になったと喜んでいた。そうなのだ。百歌がいつも押せ押せで長くなってしまうのは、それぞれのライブ自体がついつい長くなるというのもあるが、実はこの転換時間も大いに関係していたということがこのあとの本番で証明されることになる。
百歌史上(多分)初のオンタイム進行。前日同様いわぶちからスタートし、洋平、なつよ、藤重と続き、私の出番になったところでなんとまだ5分ほど巻いており、スタンバイ完了にも関わらず、「ちょっと一息入れますか」という余裕ぶり。結局最後サトルくんのあと『百歌の歌』をわあわあやったりして、結果的には25分ぐらい押したが、転換がスムーズな分スタッフたちもゆっくりライブを見れたし、めでたしめでたしのツアー締めくくりだった。
終了後、近所で軽く打ち上げた後、一路東京へ。東北自動車道。今年は4往復もしたんだなあとうとうとしながら思う。百歌エスティマ号はぐんぐんスピードを上げ、後ろでなつよが「は、速すぎる〜」と恐がっている。私は「もっと飛ばせ、もっと」と胸の中でつぶやく。何ひとつ追いつくことなど出来ないけれど、前のめりの35歳はスピード狂になりつつある。
≪川崎村・仙台百歌のシノハラ酒蔵≫
・日本酒
北国の恋人(岩手)純米
夢灯り(岩手)純米吟醸
多謝。 |