from Miyako Shinohara

Extra Volume

シノハラミヤコのノーコンエッセイ
「行き先はボールに聞いてくれい」第40球

つれづれなるままに7/19・20
仙台・盛岡
 7月19日、午前8時。前の晩ついつい飲みに出てしまった私は、頑強に目覚めることを拒否している体を叱りつけながら、なんとか集合時間に渋谷に到着した。なんか駅前混んでるなあと思ったら、平日である。世間の皆さま、お勤めご苦労さまでございます。わたくしも、決して遊びに行くのではありません。12時間後にはライブでございます・・・と心の中でつぶやいてみるものの、寝起きすっぴん髪くしゃくしゃで、我ながらどうも嘘っぽくていけない。ここは一発気合いを入れねば。と来れば歌は当然♪ここで〜一緒に〜死ねたら〜いいとぉ〜。
 もちろん一人旅ではないんである。松坂くん、林くんは現地集合だが、百歌スタッフのエスティマ号には、私、いしのだなつよ、大森洋平、坂本サトルが乗り込み、洋平くんのマネージャーが運転するレガシー号にサトルくんのマネージャーが乗って、いざ出発。♪たとえ〜どんなに離れてい〜てもぉ〜(もういいって)。
 車内でわいわいしゃべっているうちにひととおり目も覚め、すると次に起こってくる欲求は空腹である。私は「腹が減っては戦は出来ぬ」という格言を信仰しており、二日酔いの朝でもカレーを食える体質なので、何はともあれ朝飯というわけで、佐野のインターチェンジで休憩の際佐野ラーメンというものを食べてみた。手打ちっぽい太目の縮れ麺の醤油ラーメンである。ふむ。インターのラーメンにしちゃまあまあってとこかな。ちなみに坂本サトルくんは買い物好きで、行く先々であれこれ買う人なのだが、このインターではなぜか干しアンズを買い、そのアンズがトルコ産だったことから、その晩のライブでのいしのだなつよとのコンビ名が「トルコアンズ」となった。
 お腹がいっぱいになると、目覚めたはずの体が再び眠りを要求する。このあとほとんど寝ていたので、那須高原でも休憩したような気がするが、よく覚えていない。同乗のみんなによると、車が止まるたびに「着いたのお?」と聞いていたらしい。
 そんなこんなで到着した杜の都は、どんより曇って肌寒かった。出発の時の東京も曇っていたとは言え、蒸し暑く、気温も30度近かったはずだ。当たり前のように着ていたノースリーヴの肩が、車の中にいてさえひんやりする。3ヶ月ぶりの仙台。あとで聞いたところでは、気温は22度くらいまでしか上がらなかったらしい。風邪を引いていて厚着をしてきていたいしのだなつよが、余ったカーディガンを貸してくれた。
 思ったより早く着いたので(私は寝ぼけてて何時に着いたか覚えてないが)、先にホテルに荷物を置いてラウンジでお茶ののちBack Pageへ。リハで声を出したら目が覚め、再び猛烈にお腹が空く。ひるめし〜ということで、当然牛タン弁当。牛タンの食べられないいしのだなつよ(牛の舌だ!と思うと駄目なんだそうな)だけは、マクドナルドを買ってきてもらっていた。
 泣き出しそうだった空からはついに雨が落ち始め、外に出る気にもなれず、控え室のソファでみんなまったりと開演時間を待つ。午後6時開場。さすがに平日のせいか、出足はよくないが、開演近くなって会場を覗くとほぼ埋まっていて安心。オープニングアクトの林くんが終わった後、転換の間サトルくんと2人でご挨拶のMCをする。神津島、上海百歌の告知など。前回4月の時より若干おとなし目だったお客さんたちだが、ステージから見るとみんな目がきらきらしていて、ああやっぱり楽しみにしててくれたんだなと思う。
 大森、いしのだ、松坂と続き(あれ、順番合ってるかな)、私の出番。この日のBack Pageはライブのあと営業するということで終了時間が一応決まっていて、「出来るだけ時間通りに・・・」とあらかじめスタッフに言われていたので、メニューは4曲。でもだいぶしゃべったからやっぱりオーバーしたかしらん。終わって控え室に戻ったら、なつよと洋平くんが「すごい気合い入っててよかったよ!」と誉めてくれたので、最後の『place』で派手にピアノ間違ったことを瞬時に忘れる。
 サトルくんのステージは、途中いしのだなつよとのセッションあり(その時のコンビ名が、例の「トルコアンズ」)。なつよの『温度』と、サトルくんの『愛の言葉』を2人で歌う。2人共、ハモってようがハモられてようがお構いなしに歌う人なので、おかしかった。
 打ち上げではなぜか「ウォシュレット」をめぐっていしのだ対坂本戦争が勃発(私たちがその日泊まるホテルにウォシュレットが付いていたのがきっかけだったかもしれない)。「使わない」と言うなつよに対し、「なんで使わないんだ!」とサトルくんが反論。「洗った方がきれいになる」「ちゃんと拭けば大丈夫だ」「いいから使え」「いやだ」といった具合で、間に入った私と洋平くんは、まあまあとなだめつつ大爆笑。なつよの予想外の強硬な反抗に、実は結構古風なサトルパパはたじたじ。「なんでも言うこと聞くと思ったら大間違いだからねっ」というとどめの一言で、軍配はなつよだったかな。ちなみに私は気持ちいいのでウォシュレット好きでーす。
 男の子たちはもう一軒飲みに行ったが、私は眠くて、なつよと一緒にホテルに戻り、お風呂に入ってころっと寝た。
 翌日は朝8時半ロビー集合。レガシー号で行く洋平マネージャーを除いて、盛岡までは新幹線で移動。前日とは打って変わって、イーハトーヴの国はぴかぴかに晴れ上がっていた。タクシーで会場へ。FM岩手の皆さんがあたたかく迎えてくれた。
 おでって広場は、プラザおでってというビルの入り口にある幅の広い階段を中心としたスペースで、特設ステージ前には椅子が並べられていたが、その階段に腰掛けてライブを見ることも出来るようになっている。階段を昇ると向こうには川が見え、その向こうには山も見え、ステージ正面、道路を挟んで向かいにはクラシックなたたずまいの岩手銀行(伝統ある古い建物らしい)。こういう開放感のある場所に来たら、何はともあれ喫煙である。ぱかっと抜けた空めがけて長々と煙を吐く。ああなんて健康的。
 控え室にと案内されたすぐそばのホテルの部屋は10階。広々とした明るい部屋で、見晴らしもなかなか良い。窓を開けて、なつよは下を通ったスタッフに声をかけて驚かせたりしていた。私は高いとこ恐いので駄目。
 リハを終え、お弁当を食べると、あっという間に本番。急いで会場に戻ると、結構人が来ていて、椅子席はほぼ埋まっていた。午後1時、公開生放送スタート。トップバッターいしのだなつよ。私も会場に出て、階段の上の方に座ってライブを見る。陽射しが強くて、座っているお尻も熱くなって来るくらい。歌声が、公園で鳩の群れを脅かしたみたいにすぱーっと飛んで行くのがわかる。普段ライブハウスで歌ってる時はわからないけれど、たまにこうして外で歌うと、声にはかたちがあるように思ったりする。2番手大森洋平。サトルくんとなつよもやって来て、一緒に階段でライブを見た。1曲目か2曲目の途中で、ピーンとピックが飛ぶ。あれっと思ったらやっぱり指で弾き始めて、どうすんのかなと思ったら、間奏のところで素早く拾おうとするが、なぜかその瞬間腰が砕けてなよなよっとなってしまう。大爆笑の3人。ステージ裏に戻って待っていると、終わって戻った洋平くんも「かっちょわりー」と爆笑していた。
 さて3番手シノハラ。なんせ生放送である。一応20分と言われていて、「1曲歌って15分しゃべるのもありか」とも思ったが、そこは欲が深い私。3曲歌って、倍速でしゃべることに決める。まっさおな空に向かって♪肩をぬらして〜と歌う気分は格別。ついでに勝手に梅雨明け宣言もする(この日ほんとに梅雨明けしたらしい)。生放送なんだから、やり逃げやり逃げ。無事時間内に納まり、午後3時、生放送終了。
 5時から公録の夕涼みライブということで、会場内に作られた特設生ビールカウンターで生ビールを買い(この店ステージ正面にあって、本番中も気になってしょうがなかった)、とりあえず乾杯。そのあと、なつよ、洋平くんと一緒に、近くの河原で遊ぶ。洋平くんはポラロイドで写真を撮り、なつよはなぜかちゃんとビーチサンダルを持って来ていて、ずぼずぼと川の真ん中へんまで行って喜んでいた。水面をスキップさせる石投げもやった。私だけいくらやっても、ぽちゃ。くやしーとずっとやっていたら、1回だけパンパンと石が跳ねて、うおーやったーと思ったのだが、悲しいことに誰も見ていなかった。
 午後5時、まだ充分に明るさが残る中、夕涼みライブ開始。こちらは録音なので、「時間はたっぷりあります」という言葉を聞いたのが運の尽き(誰にとって?)、3曲の予定を、気分が良いので、と『422』もやったし、のんびりしゃべったし。最後『place』を歌っている時、マイクスタンドにとんぼが止まった。東京ドームの清原のテーマソングは嫌いだが、本物は可愛い。今度会えたら、おかえりって言ってくれそうな気がした。
 ラストのサトルくん終了後、全員でステージに上がり、『百歌の歌』で締めくくり。もうすっかり暗くなって、でもたくさんのお客さんがずっと見てくれていてうれしかった。会場で声をかけてくれた人、お酒を持って駆けつけてくれた人、握手した手を噛み締めるように何度も上下に振っていた女の子、はじめて岩手県に歌の足跡を残すことが出来たこと、ただただ感謝。
 残すところ旅の目的はあとひとつ。冷麺食わせろーってなわけで、大盛り上がりのライブの余韻そのままに一同打ち上げ会場へ。焼肉たらふくののち、おいしく冷麺を頂き、感涙。そのあともう一軒飲んで1時頃ホテルに戻ると、誰からともなく「まだ1時かあ」と声が上がり、すかさずシノハラは言った。「うまい酒を貰った!」。
 部屋飲みが終わったのはなんと4時。タカハシくん、きみがくれた南部美人、大好評だったよ。
 翌日は11時半ロビー集合。別のイベントのため夕張へ向かうサトルくんとなつよを見送り、私は洋平くんとこのレガシー号の後部座席で、酒くさい荷物となり果て、東北道をひたすら南下したのでありました。めでたしめでたし。♪ぉお前がオレには最後のぉ〜ぉおんなぁあ〜(やめなさいって)。

≪仙台・盛岡のシノハラ酒蔵≫
・日本酒
  南部美人(岩手)大吟醸
・泡盛
  久米島の久米仙(沖縄県島尻郡)古酒
・ワイン
  石神の丘美術館ブルーベリーワイン(岩手)

                             多謝。

last up date 2001.8/2
このページは2週間ごとに更新の予定です
予定は、未定..

back issue