『満たされた月』
1993年11月21日リリース
1.月の河
2.今夜
3.風のかたち
4.ワザリング・ハイツ
5.Cloudy Eyes
6.恋人じゃなくても
7.前夜〜Heavy Night〜
8.冬の夜
9.満月
10.誰の様でもなく(Album Version)
全作詞/篠原美也子
月の河
淋しい気持ちを隠しても 吐息ひとつで解ると
あなたはすこし照れたように グラスを覗き込んでる
優しい気持ちをありがとう 明日はきっと晴れるね
月が見て見ぬ振りをしてる 穏やかなこんな夜は
報われない恋心も 叶う当てない遠い夢も
今は月に照らされて 束の間満たされたように見える
恋しい誰かをそれぞれに 浮かべながら向き合って
ゆらゆら揺れる月明かりに からだごと預けたまま
ふたりで夜の河を行こう せつなさを載せた舟で
水に映る月を頼りに 行き着く当ては無くても
報われない恋心も 叶う当てない遠い夢も
今は月に照らされて 束の間満たされたように見える
優しい気持ちをありがとう もう少しだけ話そう
月明かりが白く流れて やがて朝に届くまで
月明かりが白く流れて やがて朝に届くまで

今夜
何ひとつも迷わずこの道を選んだ筈だと言い聞かせた
終電車のホームに走りながら何度も何度も言い聞かせた
眠れる時間を数えながらぼんやり外をながめている
アルコールの匂いと眠る顔の陰からこぼれた溜め息は
こんな筈じゃなかったんだと頭を抱えているけれど
頷いてしまうのは悔しい あんまりあんまり悔しいけど
夜は果てしなく 朝は容赦なく
崩れ落ちる夢を置き去りに
迷う暇は無く 戻る道は無く
肩を落として今夜もひとり
くだらないと言われてひと言も言葉を返せずうつむいた
軋んだ声呑み込むそのたびにどこかで何かがこわれてゆく
信じていたいと思うことがだんだん苦しくなってきた
ぼやけて行く自分をなすすべもないまま許してばかりいる
誰も彼も似たようなものと慰められても仕方ない
この世界でたったひとりの自分でいたいと思うけど
夜は果てしなく 朝は容赦なく
崩れ落ちる夢を置き去りに
迷う暇は無く 戻る道は無く
肩を落として今夜もひとり
夢だとか理想とか届かないものに名前をつけるだけであきらめていないか
口の中で言葉を転がすだけで何かをしたような気になってた
絶望するのはまだどこかではかない希望が疼くから
見えない何かをつかむのは誰にも見えない力だけ
夜は果てしなく 朝は容赦なく
崩れ落ちる夢を置き去りに
迷う暇は無く 戻る道は無く
崩れ落ちた夢は数知れず
だから歩き出す 明日じゃ遅すぎる
崩れかけた夢を抱きしめて
今夜 今夜歩き出す 今夜歩き出す

風のかたち
最後の勇気も報われなかった
あなたは本当に立ち去ってしまった
あなたが好きだった夜明けの空の色
ひとりで見つめてる 眠れずにひとりで
つらいのはまだどこかで期待しているから
もしかしたらもしかしたら 思っているから
もう一度生まれ変わるそんな日が来たとしても
あなたをきっと選ぶ 迷わずに選ぶよ
何もかもがうまくゆけばいい
まだ見ぬ明日に吹く風が
かたちの無いすべての思いを
静かに静かに包むように
かけがえのないものは吹き過ぎる風に似て
抱きしめても抱きしめても すり抜けてしまう
薄い青に変わって行く夜明けの空の色
ひとりでは出来なかったことばかり思い出す
あなたが好きだった生まれたての朝の中で
確かなものなんてひとつもない だけど
風のようにかたちにならずに
過ぎてく思いを明日こそは
ひと言でいいから伝えたい
あなたに会うため生まれてきたと
何もかもがうまくゆけばいい
まだ見ぬ明日は胸を張って
それでも好きですと伝えたい
あなたに会うため生まれてきたと
生まれてきたと

ワザリング・ハイツ
ここはワザリング・ハイツ 今は風に吹かれようとも
ここはワザリング・ハイツ 今は風に吹かれようとも
扉は固く閉ざされたまま 夢はいつまでも夢のまま
いらつくだけじゃ答えは出ない 時の中で踊るだけ
誰かの描いた明日の地図を破り捨てられず迷ってる
頷くだけじゃせつないけれど振りほどく勇気が無い
灼けつくように乾いた胸の中の荒野は日毎夜毎ひび割れてゆくだけ
たどり着くのはいつも思い描いた朝に
どこか似ているけれどまるで別の風景
口をつくのは言い訳ばかり 足をとられて転ぶばかり
つじつま合わせ繰り返しては空回りの言葉だけ
愚かな夢を見たがる胸の中の嵐は日毎夜毎激しく強くなる
口を閉ざして今は風に吹かれるままに
髪をなびかせじっとうつむいているけれど
決して忘れはしない あきらめることもない
息をひそめて胸の奥に隠してゆこう
ここはワザリング・ハイツ 今は風に吹かれようとも
ここはワザリング・ハイツ いつか風に向かう朝まで
ここはワザリング・ハイツ 今は風に吹かれようとも
ここはワザリング・ハイツ 今は風に吹かれようとも
※WUTHERING HEIGHTS=嵐が丘

Cloudy Eyes
見慣れたはずの顔が 窓ガラスの中なんだか
すこしだけ淋しげに見えるのはちらつきがちな灯りのせい
流れるような日々を 瞳にうつさないように
生きてゆくくせがついて まなざしがついうつむきがちになる
夢を見ていたのはいつのこと
生きてゆくことを選んだ日 大人になった気がした
夜更けの最終電車 1日の終わりへ走る
車内づり誰かの不幸と遠くの戦争が風になびく
目を閉じたくはないと 閉ざしたまぶたの裏側で
思っているけれど今夜はただ早く帰って眠りたい
透き通った瞳でいつまでも
生きてゆくことが出来るなら それは素敵なことだね
誰かの為に笑ったり 言葉をつくって話したり
そんなことないと言いかけて顔を上げたら涙が出た
あなたらしくないねと受話器の向こうの友達は
元気を出してよ ところで新しい彼の話したっけ?
たわいのない話にひとしきり夢中になって
ふと振り向く鏡の中曇った瞳やけにいとおしい
せつなさを越えてくそのたびに
瞳が曇ってゆくけれど きっと生きてる証拠だね
誰かの為に笑ったり 言葉を飾って話したり
大丈夫よと言いかけて笑おうとしたら涙が出た
誰かの為に笑ったり 言葉をつくって話したり
それでもいいと決めたのにだけどやっぱり 涙が出た

恋人じゃなくても
受話器越しの声は何だか細くて
らしくないねと わざと弾ける声
月がきれいだから とてもきれいだから
声が聞きたくてと笑う
足元にからまる電話線の彼方
どんな溜め息を隠してあなたは
去年の今頃は何をしてたっけ
たわいない話 続けてる
思い出せない程に夢中だった日々の
ひとつひとつの場面にいつもあなたがいて私がいたね
力になりたくて 力になりたくて
体がふるえる程 自分が歯がゆくて
言葉に出来なくて唇かみしめた
You are my favorite 恋人じゃなくても
傷つけた痛みと傷つけられた痛みは
きっと同じだといつか話してた
不意に軋んだ声 やりなおさないか
気が遠くなる程時が流れたら
もういちど言ってよ その時初めて
大声で泣けると思うわ
忘れることのほうがつらいこととわかった
あなたなしでは何も出来ない そんな風に愛し合ってきた
受話器越しの声は何だか遠くて
何かしてあげたい たまらなく思う
だけどその心にひそむ憐れみが
何よりもあなたを傷つけてしまうね
わかっているけれど 力になりたくて
何にも出来なくて 自分が歯がゆくて
言葉にならなくて 受話器を抱きしめた
You are my favorite
恋人じゃなくても

前夜〜Heavy Night〜
空き缶 野良猫 忘れ去られたポスター 夜を彩る錆びれた小道具達
朝になればもう誰も見向きもしない 自分と似てることを知るのが怖いのさ
゛迷ってる暇はない 替わりはいくらでもいるんだ 決めたのは奴等だ 俺じゃない"
そんなつぶやき街のあちこちで腐ってる
誰のせいでもなく 誰も悪くない
仕組んだのは誰 仕組んだのは誰
Heavy Night 死んだように眠ってしまえ
時は誰の味方でもない ただ当たり前のように過ぎてくだけ
Heavy Night あてもなく歩くのが好きさ 約束のないものが好きさ
あきらめたくはないんだ
Heavy Night
とりあえずは行く先を決めることだね いつまでも解らないことを言うんじゃない
もう何も言うなよ My Heart 決めたんだから 明日になればすべて決まるんだから
゛10年後の見本ならそこらの赤ちょうちんに ほら でも俺だけはああならない"
その言葉は決して嘘じゃないはずだった
誰のせいでもなく 誰も悪くない
慣れてゆくんだ 慣れてゆくんだ
Heavy Night 理想と現実はいつでも
終わった恋ほどにせつなく はがゆく はかなく 心乱してゆく
Heavy Night 何度でも越えてゆくさ 歌いながら 笑いながら
あきらめたくはないんだ
Heavy Night
空を飛ぶ鳥みたいに生きてゆけるって信じてた だけど気付けば
この世で一番惨めなワンダラー
゛つまらない大人にはなりたくない"
あの歌は今も色あせちゃいないけど
もう そこまで 朝が近づいている
Heavy Night 死んだように眠ってしまえ
時は誰の味方でもない ただ当たり前のように過ぎてくだけ
Heavy Night ほんの少しの勇気でいい
この夜が明けてゆく前に たったひとつ胸の奥の奥ともして
Heavy Night あてもなく歩くのが好きさ 約束のないものが好きさ
あきらめたくはないんだ
Heavy Night

冬の夜
午前零時の新宿ステーション 煙草くわえたTaxi drivers
冷えた体を両手で抱きしめ黒いブーツは行き先決めかねる
声の限りに叫んでみたけど誰の胸にも届きはせずに
意地を張るなと肩を叩かれた 返す言葉が見つからないままで
流されてゆくのか こんな気持ちのまま
いつの日にも守ってきたこの思い
何に劣り 何に勝るのか
明日は幾つの言葉に従うのだろうか
折れてしまえば楽になるのにと優しい声が心を揺らす
お前のせいで面倒になると呆れた声が背中に突き刺さる
午前零時の新宿ステーションつめたい風になんだか泣ける
金も名誉も力も無いから信じるものも守れやしないんだ
流されてゆくのか こんな気持ちのまま
足を止めて息を吸って目を閉じる
この街のあちこちネオンの隙間に 届かない声の捨て場所探して
今夜も人があふれている
あきらめたくはない
何に劣り 何に勝るのか
かすれた声で叫び続ける
何に劣り 何に勝るのか
明日は幾つの言葉に出会うのだろうか

満月
夜空を見上げて鼓動を数える
車の河が流れて時折橋が架かる
となりの彼女は時計を見ながら
思わず溜め息もらしあわてて唇を噛む
信号変わって背中が流れる
流れて行けない思いが残った
満ちてはまた欠けて行く月が静かに見下ろす
淋しくはないですか 繰り返して行くことは
明日にはまた欠けて行くのに黙ってる訳を教えて
手すりにもたれて呼吸を押さえる
レールの端から端へ行ったり来たりの日々
扉が開いて背中があふれる
あふれる思いに扉が閉まった
窓の向こうぼんやりと浮かぶ今夜は満月
ひるんだりしませんか 繰り返して行くことに
明日にはまた欠けて行くのに満たされたことも忘れて
満たされた月の淋しさに問いかける言葉は尽きることなく
はね返される問いかけがそのまま答えだと本当は知っている
はかなくはないですか 恐れたりしませんか
淋しくはないですか 繰り返して行くことは
淋しくて死にそうだと答える
だから走ると答える

誰の様でもなく(album version)
昔 銀幕のスターは生まれながらのスターだった
誰も知らない所に住み 会えるのはスクリーンの中だけ
だけど時代は随分流れたね 今じゃ隣りの
ちょっと可愛いあの子が 次の日にはもうスターだってもてはやされてる
あんたの様なやり方は流行らないと誰かが笑う
いつまでもそんな風に不器用じゃ話にならない
東へ西へ左へ右へどこへでも そんな時代さ
答えはすぐに出るもんだ 誰だってその方がいいに決まってる
なんか違うように思う なんかおかしいように思う
でもすべて時代のせいに出来る程若くはなく
あきらめ悟ってしまう程 生きているわけでもなく
自分を探してみたくてやっと今 1歩目
誰の様でもなく 誰の為でもなく 誰にも似ていない
I'm nobody
恨む程 嘆く程 それ程悪い世の中じゃない
取りたてて不自由はないけど 若すぎる激しさの行き場所が無い
わかっている わかっている わかり過ぎる程わかっている
でも今日も日々に追われ だから人間ていとおしいもの
小さな花とあきらめるな 何も出来ないと決めつけるな
たとえどんなわずかなことも 誇りに出来る力を持て
あんたはまだ若いなどと 卑怯な逃げ方をするな
時代を変えて行くものがあるとすれば それはきっと名も無い青春達
流されていったとしても 何かに立ち向かっていても
すべての人生を包む様に時は流れる
たかがはたち されどはたち 今が今しかないように
あたしは世界でたったひとりのあたしでありたい
誰の様でもなく 誰の為でもなく 誰にも似ていない
I'm nobody
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