『河よりも長くゆるやかに』
1995年10月4日リリース

1.名前の無い週末
2.Don't forget
3.MIND FACTORY
4.You're so cool
5.馬鹿みたい
6.風を見た日
7.あこがれ
8.Down
9.Fool in the Rain
10.Dear

全作詞/篠原美也子


名前の無い週末

何を言っても仕方がないから 今は笑ってしまおう
つぎはぎだらけの言い訳は余計やりきれないし
歩道橋 手すりにもたれて いつしか降り出した雨の中
行き場のない恋心 今頃気付くなんて

思い出したら悲しくなるから 早く忘れてしまおう
交わした言葉もまなざしも誰かのものだった
つまらないことがうれしくて勝手に育てた恋心
週末の夜なのに 溜め息ひとつついた

浮かんではまた消えて行くはやりの歌のように
右から左へやり過ごしてしまえたらいいのに

週末の街は華やかで人はまるで河のように
街のかたちのままにどこかへ流れてく
ちゃんと息もしてる 足も動く まだやれる
届くことない思いを両手に抱きしめて

何を言っても愚痴になるから こんな時はひとりで
週末の夜だけど誰にも会わずに
思い続ける強さと あきらめる勇気の
隙間で泣いている 名前の無い夜をひとり

思いのままに走れば誰かを傷つけてしまう
何もなかった顔でどこまで行けるのだろう

週末の街はあざやかで人はまるで河のように
たどりつくどこかへと足音を運んでく
ちゃんと恋も出来る 季節もわかる まだ行ける
叶うあてない思いを両手に抱きしめて

つまらないことがとてもうれしくてやさしい気持ちになれたこと
終わらない週末の光の陰で確かめながら

週末の街を流れてく人の河に身を任せて
たどりつきたい人の名前を呼び続ける
週末の街ははかなくて夜はまるで海のように
たどりつくすべてを静かに許してる
いいじゃない 雨は冷たい 傘をさそう まだやれる
ちゃんと息もしてる 足も動く まだ行ける
届くことない思いでも 叶うあてない恋でも
まだやれる



Don't forget

寝呆けた頭で朝のホームに駆け出して行く
重たいまぶたを冷えた手で時折こすって
まぶしい朝日にショウウィンドゥのガラスが光った
瞳を閉ざして彼は不意に立ち止まる

忘れたつもりの夢たちがまたこみ上げてきて
しっかりしっかり歯をくいしばらなきゃ叫んでしまう

くだらないよと笑われて 熱い思い口にしても
この世界の勝利 彼の夢の重さ
選ぶことは失くすことに似ている
負け惜しみだと笑われて 言い返せずにうつむいた
この世界の正義 彼の胸の勇気
流されて行くだけ

何にもうまくは行かなかったね いとおしい日々
それでも自分で選んできたんだと胸を張ってた

仕方ないさとあきらめて 頷くよりほかなくても
忘れないで どんな生き方になっても
ずっとあなたを支えた愚かさを
くだらないよと笑われて 唇噛んでうつむいた
この世界の正義 胸の奥の勇気
流されて行くけど

寝呆けた頭で朝のホームに彼は立ってる
静かに静かに遠ざかる風景をその胸に焼きつけて
忘れない 忘れない



MIND FACTORY

本当は誰もがひとりだと気付かぬまま生きて行ける
それがしあわせな人生
傷つかないためのやり方 傷つかぬまま見付けられる
それがしあわせな人生
罪の無い笑顔で疑うこともなく

本当は誰もが部品だと気付かぬふりで生きていける
それがしあわせな人生
心など持たずにいられたら 機械のように生きられたら
もっとしあわせな人生
赤く錆びついたボルトを見つめ嘆いても
仕方ない 仕方ない

運び込まれる夢たちは似たような笑みを浮かべ
目の前をただ流れながら与えるふりで奪って行く
夢も希望も絶望さえも忘れやすいものばかり
明日のことは聞かないで 満たされなさいと笑う

生まれてくるずっと前のように 膝を抱いて眠ろう
空腹さえ悲しかった頃のように夢を見よう せめて夢を見よう

心を持っている部品だと 痛みを知ってる部品だと
気付かずにいたかったけど
気付いてしまった心は二度と戻れない あの日には
愚かなまま やさしさだけ選んでいた あの日には



You're so cool

交わす言葉もなく雨を見てる背中に
かける言葉はなく胸の鼓動数えてた
思い通りに行くことのほうがすくない
自分らしく生きて はやりの歌は指をさす

他人の書いたあなたの姿が時には道を照らすけれど
他人の思うあなたはいつもひとりで強く生きているけど

You're so cool つまらないことでつまづいてもかまわない
You're so cool 迷いながら歩いて行くあなたは誰より素敵

恋する気持ちさえも届くことないものがある
自分らしくとか素直だとかそんな言葉はきれいなだけ

傷つくことも傷つけることも恐れずすべてをぶつけられたら
思いのたけを言葉に変えて誰かれかまわず叩きつけられたら

You're so cool 本当の強さは弱さを知り闘うこと
You're so cool 果てしない淋しさだけが今はあなたの味方

あなたの書いたあなたの姿が時には道をふさぐけれど
あなたの書いたあなたの地図は見えない道を夢見るけれど

You're so cool 本当の強さは弱さと共に生きて行くこと
You're so cool つまらないことでつまづいてもかまわない
You're so cool 迷いながら歩いて行くあなたが誰より素敵
誰よりも素敵
You're so cool



馬鹿みたい

きっとよくあることだから 機嫌が悪いだけだから
きっとそういう時期だから 退屈し始める頃だから
お互いのことも大体わかり始めているし
言葉がすくなくなったのは良くなってくためのステップのはずだから

どこにでもあることだから きっとみんなそうだから
心配なんてしないから いつか笑って話すから
あの時ちょっと淋しかったよ 放り出されたみたいで
最初はすねたふりで でも最後は笑いながら話すから

恋をして焦がれて らしくないよなんて笑われて
どうしてなのかわからない でもあなたでなければ駄目だから
どうしても

きっと一時のことだから 調子が悪いだけだから
問い詰めるのはイヤだから 嫌われたくないから
いつも通りにしていよう 気付かないふりをしていよう
すこし時間さえたてばまた元通りになるから

ひとりでも平気だから 結構強いほうだから
約束なんてしないから 手を振って じゃあまたね
愛してるにも聞こえた さよならにも聞こえた
どっちかわからないのなら幸せなほう信じたいけど
それでも女だから くやしいけどそうだから
言葉じゃ言えないこともある でも言葉じゃなきゃ伝わらないこともある

恋をして焦がれて らしくないこともわかっていて
ついついまたその気になって 期待して 支度して おしゃれして いそいそと
鳴らない電話抱きしめて 期待して 結局は 今日もまた待ちぼうけ
馬鹿みたい 駄目みたい 今度こそ 駄目みたい
馬鹿みたい



風を見た日

ひとりになって思うのは
ふたりで過ごした日々じゃなく
ふたりで過ごすはずだった
今日や明日のこと

いつの間にか春は過ぎ去って
半袖のシャツがとてもまぶしい

ひとりになって 初めて見えた
季節が空が人が風が
ありがとう 黙って流れる日々
どんな言葉より力をくれたね

息もつかずに走ってた
あなたのほかには何も見えなくて
立ち止まることは負けること
あなたをいつか追い詰めた

流されて行くこと恐れては
やさしさをいつも試していた

ひとりになって 初めて知った
許されていた 守られていた
ありがとう ここから歩き出せる
風を見つめて歩き出そう

ひとりになって思うのは
ふたりで過ごした日々じゃなく

立ち止まったから 初めて見えた
季節も空も人も風も
ひとりになってやっと気づいた
いつでもすごくやさしかった
ありがとう いつかきっと伝える
あなたがくれたものに似合う 人になって 会いに行こう



あこがれ

気が付くといつでもあなたを追いかけてた
私より一歩前のあなたの背中追いかけてた
振り返るあなたはいつも こぼれるような笑顔で
手を振るだけ でも思い出せば
その姿がいつも力をくれた

追いつけない歯がゆさで立ち止まった日もある
私より一歩前を歩く背中はとても遠い
ほんとうはわかっているよ 悲しいときの笑顔は
飾りたてた言葉じゃないね
ありふれたものだね ありがとう

手を伸ばせば届く距離でひとりで歩いて行くから
あなたの場所から見える風景を
時折すこしだけ 教えて
時折すこしだけ 話して



Down

ほんとうのこと教えてよ あの頃いつも叫んでいた
うつむく肩揺さぶって黙り込むのは卑怯だと
真実だけで生きられた日々 もどかしくてつぶやいた
You're so down

ほんとうのこと教えてよ 今でも叫びたいけど
やさしい嘘知ってるから騙されたふりで笑う
ほんとうのことは誰ひとり幸せになんかしやしない
I'm so down

ほんとうのこと話してよ うまく行かないその理由を
間違いはいつ? 悪いのは誰? 足をとられて転んでるだけ
機嫌を取っているだけじゃほんとうの恋は出来ない

穏やかな日々の中で飲み込み過ぎた言葉で息が詰まる
言わない 言えない ほんとうはどっち? 当り障りの無いYesは危険
当り障りの無いYesは危険

ほんとうのこと教えてよ 誰かが今日も叫んでいる
真っすぐな目 真っすぐな声 うつむく誰かを責める
たとえば嘘 あるいは真実 どちらが正しい どちらが悲しい
時代の風に振り回されて何だかもうどっちでもいい
I'm so down

ほんとうのことを教えてよ ほんとうのこと話してよ
せつない問いかけを抱いて誰もが口を閉ざす
愚かなままではいられずに愚かなふりを覚えて
答えは沈黙の河を落ちて行くように流れて行く
Down



Fool in the Rain

アスファルトに落ちた涙のように見えた
突然の雨 静かに信号待ちの肩を染めて行く
見上げる空に残るわずかばかりの光はすぐに雲に隠れた

アスファルトを濡らす雨にも似た暮らしは
跡形も残さず深く流れ落ちて行くだけ
忘れるための日々 思い出せない昨日を重ね
残るものは 残るものは

本当は何になりたくて 本当は何に憧れて
心の中に今もまだ雨をついて走る愚かな夢を抱いて

立ち向かうだけの日々はいつしか遠く過ぎ去って
秘密を暴くように本当のことを突きつけてみても
真っすぐ過ぎる言葉は届くことなく傷つけるだけ
傷つくだけ いつも ひとりきりで ひとりきりになれない

中途半端な足元を責める言葉を聞きながら
心の中に人知れず流されまいとあがく愚かな夢を抱いて

時代を渡る小舟の数え切れない中のひとつ
どうせはかないものだと だからいとしいはずだと
行き交う車 靴音の波 見せかけの恋 本当の嘘
雲に隠れて見えない空を思い続ける 負けたくはない

アスファルトに落ちた涙のように見える
幾千の雨 すべての歩き始める肩に降り続ける

街にまぎれて行くけれど 風に流れてしまうけど
本当は何になりたくて 本当は何に憧れて
心の中に今もなお雨をついて走る愚かな夢を抱いて

Fool in the Rain



Dear

どこにでもある一日が今日も静かに通り過ぎて行く
心にもない話ばかりでほんとうの気持ちは置き去りのまま

数え切れない痛みの中で笑顔が増えてしまうように
飲み込んだ言葉の分だけあなたはやさしい人になる

流されるまま 流されるまま 足跡さえ残せないけど
それぞれの河を流れてく 今日もひとりずつの足で

どこにでもある出会いと別れ 幾つもあなたを訪れて行く
恋をするたびいつも大事なひと言の前でつまづいている

伝えきれないもどかしさで余計思いが募るように
見送った背中の数だけあなたの心は欠けて行く

流されながら 流されながら それでも恋しさを抱いて
海に近付くほどゆるやかに濁る河を流れて行く

泣かないで あなたの痛みはあなたしか抱きしめられない
誰かのようには誰ひとり生きて行くことは出来ない

流されて行く何もかもの後ろ姿こそが勇気
それぞれの河を生きて行く それぞれの海を目指して

流されるまま 流されるまま 足跡さえ残せなくても
河よりも長くゆるやかな毎日を歩いて行く
今日もひとりずつの足で

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