ナイーヴ

見るともなく見上げた路線図には
降りたことない駅の名が並んでいる
吊り革の向こうの窓越しに
見慣れている それなのに見知らぬ駅

多分決して降りることないドアの向こう側に
誰か待っている気がして 急に胸が騒いだ

そんな風に数知れぬすれ違いをくり返して
それでもそれぞれの出会いや別れで手一杯で
振り返るひまもなく愛し合って憎み合って
そしていつか大切なたったひとりと出会って行く

何となくめくった旅の雑誌
見たこともない青い海 広がってる
楽園へようこそ 白い文字
名前だけ知っている 見知らぬ海

その冷たさに その深さに 触れることはない
それでいいと思ってたのに 淋しさに戸惑った

そんな風に人知れずあこがれを胸に抱いて
きっと叶う日が来ると理由もなしに信じていた
いつの日かいつの日か思ったまま時は経って
そしていつか平凡を漂う大人になっていた

見るともなく見上げた空は
見たこともない夕焼けの色に染まる
限りある大切な時間の中
出会うはずの人や場所 あとどれくらい残っている?

こんな風に名も知らぬ偶然に出会うたびに
ほんのちっぽけな今日が突然光を放つから
嘆いてるひまはない たどり着いてドアを開いて
そしてみんなそれぞれの行くべき場所を目指して行く

きっといつか きっといつか 祈るように 叫ぶように
そして今日も大切な願いや希望とともに行く