葉桜

言いたいことなどほんとうは無くて
でもそういうのってあった方が素敵に思えて
誰の様でもなくなんて叫んだ
どこにでもいる自分だって知ってたから

こぼれた言葉に憧れて 追いつきたくて走り出した

道無き道のどこかにある
答えを探しに行くんだと決めたのは春だった

やりたいことはいつの間にか
望まれる自分になることにすり替わって
あなたが笑ってくれるならそれでいいと
手のひらの汗を必死に隠していた

自分の言葉を追いかけて 追いつけなくて苛立ってた

つじつま合わせに疲れ果て
好きなものがわからなくなって泣いたのも春だった

あの夏に あの秋に 立ちつくしてた冬の日に
選ばなかった扉の向こうにも 確かに 確かに 人生はあった
生きることのなかったその日々に答えがあるような気がして
振り返るけど

葉陰に残った花びらひとつ
もう誰も桜と呼ぶ人はなくて
いずれすべては散りゆくさだめなら
振り返らないで そこにはもう誰もいないから
過ぎ去りし花を思うのはいつだって春なんだ