サヨナラ

もうへとへとで口をきくのも面倒で
一番大事なひとにもやさしく出来ない
夜が明けるまでのわずかな時間
何も考えず ただ眠りたい

あとすこし もうひと息
いつもそこで力が終わってしまう

9回ウラ 最後の一球 振りかぶって
ボールは光の中に消えた
歓声に背を向けて マウンドを降りて行った
古ぼけたエース あれはあたしだ

もうさんざんな一日のかけらを前に
何を言ってもきっと全部愚痴になるから
散らかった部屋も心もそのままに
夢も見ないで ただ眠りたい

あとすこし もうひと息
頑張りなさいと人は言うけれど

限界という最後の一球 振りかぶって
ボールは闇にはじけて消えた
当たり前みたいに また敗れ去るだけ
残されたチャンスは どれくらい

いつでもそっと手がかりをくれた夜は
いつしかただ眠るためだけのものになった
朝を待たなくなってどれくらい経つのだろう

もういちど 背を伸ばして
ここですべて終わってしまう前に

9回ウラ 最後の一球 振りかぶって
ボールは夜の途中消えても
すこし重たい肩で マウンドを目指してく
古ぼけたエース それがあたしだ
すこし眠たい朝に マウンドを夢見てる
終わらないゲーム 古ぼけたエース
それがあたしだ